リスト：超絶技巧練習曲（全12曲）
　第1曲ハ長調『前奏曲』
　第2曲イ短調
　第3曲ヘ短調『風景』
　第4曲ニ短調『マゼッパ』
　第5曲変ロ長調『鬼火』
　第6曲ト短調『幻影』
　第7曲変ホ長調『英雄（エロイカ）』
　第8曲ハ短調『狩』
　第9曲変イ長調『回想』
　第10曲ヘ短調
　第11曲変ニ長調『夕べの調べ』
　第12曲変ロ長調『雪かき』

クラウディオ・アラウ（ピアノ）
録音：1974年3月～1976年11月

30年以上聴き続けても全く飽きず、聴くほどに奥深いこのアラウ盤がベストです。技巧を超越した芸術性、コクがありどこまでも深い音の美しさに加え、特に“風景”や“鬼火”“回想”“夕べの調べ”といったスローテンポの曲で充分に堪能でき、終曲“雪かき”における品位ある締めくくりにはもう脱帽してしまいます。アラウ71〜73歳の録音、若きアラウには決して表現・到達しきれなかった悟りの境地の様なものを感じます。

70歳を越えて録音したアラウによる “超絶技巧” はこの曲の名技性やドラマが目立つものではなく、むしろ堂々とした風格、高潔な品格のようなものを感じさせるもの。老年まで保ち続けたテクニック (さすがに切れ味鋭くはありませんが) とパッション。アラウが到達した見事な境地です。アラウはこの後 テクニックが衰えとともに枯淡の世界を聞かせますが、この難曲を弾くには絶妙なタイミングであったのではないでしょうか。

「鮮やかで軽やかで色彩豊かなアシュケナージ（抜粋）盤」「大時代的ヴィルトゥオーゾ時代を髣髴とさせるベルマン盤」「洗練された風格豊かな音色・タッチでリスト音楽のロマンチックな面を刻印したボレット盤」に比べて「重厚で透明な音色を駆使して音楽の細部まで克明に捉えながら、作品の持つ精髄・大きさ・精神的高揚の素晴らしさを見事に捉えた名演（特に「夕べの調べ」は曲の持つ神秘性、豪放なテクニック、精神的感動を過不足なく再現している必聴盤）」です。アラウのコクのある音楽にはまると、颯爽としたアシュケナージ盤さえ「弾き飛ばし過ぎる」と感じられるほどです。録音も極めて優秀です。

輸入盤【西独盤】【日本語解説付】盤面傷無し　

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